奈落の底

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【雑記】キミは『キングコングの逆襲』を知っているか?

ゴジラvsコング』の元となった『キングコング対ゴジラ』(1962)は、東宝創立30周年記念作品、ゴジラ映画初のカラー作品、『ゴジラ』(1954)『ゴジラの逆襲』(1955)以来7年ぶりにゴジラが復活、シリーズ歴代1位の観客動員数を記録、以降の怪獣プロレス路線を決定づけた等々、ゴジラシリーズを語る上では決して外す事ができない重要作だという事はもはや説明不要かと思いますので、今回は東宝が制作したもう1つのキングコング映画を紹介します。

 

キングコング対ゴジラ』は東宝が当時キングコングの権利を所有していたRKO社とライセンス提携した事によって制作が可能となったわけですが、ライセンスが切れる直前に「せっかくだから」と制作されたのがこの『キングコングの逆襲』(1967)です。

 

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「逆襲」と謳ってはいますが、『キングコング対ゴジラ』でゴジラと引き分けたキングコングゴジラに再挑戦するとかそういう内容ではありません。

そもそもゴジラは出てこないし、コングも『キンゴジ』とは別の個体です。

なので、前作とは別人のように不細工愛嬌があるのも仕様です。

 

キングコング以外の登場怪獣は、東宝特撮初のライバルロボット怪獣メカニコング、隠れた人気怪獣ゴロザウルス、オリジナル『キング・コング』に登場した大蛇をオマージュした大ウミヘビ。

 

カニコングは天本英世演じる悪の天才科学者ドクター・フーキングコングを模して造り上げたロボット怪獣なのですが、元々は戦闘用ではなく、北極の地下に眠る放射性物質「エレメントX」を採掘するために造られました。

それなのに、エレメントXから発せられる磁気によって故障してしまうポンコツなのでした。

 

そこで、ドクター・フーのクライアントである某国の工作員マダム・ピラニアは、本物のキングコングを捕まえてきてエレメントXを採掘させればいいと提案します。

その発想はなかった。

 

その後、キングコングの捕獲と脱走を経て、東京に上陸したコングと新たに建造されたメカニコング2号機が東京タワーで最後の決戦を繰り広げます。

馬鹿と煙とキングコングは高い所が好き。

 

数ある東宝特撮の中で特に優れた作品というわけではありませんが、それでもやはりメカニコングの存在は特筆すべきでしょう。

 

ゴジラの生みの親である田中友幸プロデューサー(『ゴジラvsデストロイア』までのほぼすべての東宝特撮を担当)の「昔メカニコングってロボット怪獣があったけど、ゴジラのロボットは作れないかな」というアイディアから『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)がゴジラ誕生20周年記念映画として制作されたので、あの超有名人気怪獣であるメカゴジラは本作がなかったら生まれなかったと言っても過言ではないのです。

 

ゴジラvsスペースゴジラ』に再登場して(一部で)熱狂的な人気を獲得したMOGERAや、『ゴジラS.P』に再登場して新たな人気を獲得したジェットジャガーのように、メカニコングには同様のポテンシャルが秘められていると思うので、いつか復活・再登場する日を期待しないで待ってます。