ヴィジュアル系というジャンルにおいて間接的な影響も含めて後続に最も影響を与えたヴォーカリストは誰なのかと遡って行くとおそらくDEAD ENDのMORRIEに辿り着くのではないかと思うのですが、MORRIEほどではないにしろ、「元祖ヴィジュアル系」とも呼ばれるジュリーこと沢田研二の影響を受けてる人も多いだろうなぁと漠然と思っていたので簡単にまとめてみました。
V系シーン黎明期から活躍している第一世代への影響は特に大きく、ISSAY、河村隆一、清春、櫻井敦司はそれぞれソロで沢田研二のカバーを行っています。
中でも河村隆一はカバーアルバムで二度にわたってカバーしており、その影響の大きさが伺い知れます。
また、後続のV系ヴォーカリストへの直接的な影響力は最も大きいと思われる清春が沢田研二の影響を受けている事からも、間接的には相当数のV系アーティストが沢田研二の影響下にあると言う事もできるでしょう。
時の過ぎゆくままに / 河村隆一
LOVE (抱きしめたい) / 櫻井敦司
一気に知名度が下がりますが、紫苑というV系バンドも沢田研二をカバーしています。
既に解散済みであり、自分も語れるほど詳しくないのですが、今思えばゴールデンボンバーに近い路線だったバンドのように思います。
ダーリング / 紫苑
ここからはヴィジュアル系ではなくなるのですが、広義的にはV系と呼んでもギリギリ差し支えなく、V系を好きな人が併せて好んでいそうなアーティストという事でご容赦下さい。
ROLLY、森重樹一、吉井和哉といった日本を代表するグラムロックミュージシャンたちが「和製デヴィッド・ボウイ」とも称される沢田研二をカバーしているのは必然のようにも思えます。
おまえがパラダイス / 吉井和哉
音源化はされていませんが、Takamiyこと高見沢俊彦がソロのライブで「ヤマトより愛をこめて」をカバーしています。
たかみーの場合は沢田研二が好きというより『宇宙戦艦ヤマト』が好きなのではと思わない事もありませんが、グループサウンズからの影響は公言しているので、沢田研二がソロデビュー前に活動していたGSバンドのザ・タイガースからの影響は少なからず受けているでしょう。
余談ですが、私が沢田研二で一番好きな曲がこの「ヤマトより愛をこめて」です。
自分が死んだ時はこの曲で送り出して下さい。（できれば『さらば宇宙戦艦ヤマト -愛の戦士たち-』の映像付きでお願いします。）
さらに余談ですが、大御所アーティストの中には若かりし頃にアニメの主題歌を歌っていた事を黒歴史にしたがる人も少なからずいますが、沢田研二は今でもこの曲をライブで歌っているそうです。
ヤマトより愛をこめて / 沢田研二
変わり種として、カブキロックスが「TOKIO」を「お江戸 -O・EDO-」というタイトルで替え歌カバーしています。
このカバーの一番すごいところは、オリジナルの作詞を手掛けた糸井重里が再び作詞をしているという点。
お江戸 -O・EDO- / カブキロックス
また、カバーではありませんが、ROLLYはすかんちでも「いかすぜ! ミッドナイトDJ」で「危険なふたり」のギターリフをパロっています。
いかすぜ! ミッドナイトDJ / すかんち
危険なふたり / 沢田研二
沢田研二のカバーという点ではTAK MATSUMOTO feat. KOSHI INABA（それもうB'zだろ）の「勝手にしやがれ」も外せないでしょう。
さすがにB'zはどう考えてもヴィジュアル系じゃないだろというツッコミが聞こえてきそうですが、松本孝弘は浜田麻里のレコーディングに参加しているし、稲葉浩志は学生時代にLOUDNESSのコピーバンドを組んでいたりBLIZARDのギタリストである松川"RAN"敏也のソロアルバムにゲストヴォーカルとして参加しているので、B'zはジャパメタですよ。
勝手にしやがれ / TAK MATSUMOTO feat. KOSHI INABA
最後に、実際に影響を受けているかどうかは別として、「この曲をこのバンドがカバーしたら面白そう！」というのを何曲か考えてみました。
「麗人」 ⇒ Janne Da Arc
歌詞といい曲調といい完全にJanne Da Arcの世界観そのまま。
「心ばかりか身体までも堕ちていく」ってフレーズなんかyasuが歌っても全く違和感がないと思います。
Acid Black Cherryではシングルのカップリングで懐メロや歌謡曲のカバーをやるのが定番なので、ABCでならもしかして本当に有り得るかも、と期待。
麗人 / 沢田研二
「恋のバッド・チューニング」 ⇒ すかんち
「恋の○○」というタイトルからして完全にすかんち。
女声コーラスパートをshima-changが担当している姿は容易に想像できますし、キラキラでピコピコなキーボードは「恋人はアンドロイド」を彷彿させます。
そもそも「和製デヴィッド・ボウイ」である沢田研二と日本屈指のグラムロックバンドであるすかんちの相性が悪いはずがないのです。
恋のバッド・チューニング / 沢田研二
どう見ても出オチです。本当にありがとうございました。
「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」 ⇒ DaizyStripper
これも出オチ。
それでもカバーに定評のあるDaizyStripperならきっと何とかしてくれるはず……！
ス・ト・リ・ッ・パ・ー / 沢田研二
ここで紹介した以外にも本当に数多くのアーティストが沢田研二のカバーをしています。（Wikipediaにカバーされた曲についての記事があるレベルです。）
ロックミュージシャンによる西城秀樹トリビュートという企画が以前ありましたが、同じコンセプトで沢田研二のトリビュートアルバムを作ったら絶対に面白いと思うので、誰か企画して下さい。
